糸調節
↓の記事で書いた、既に設定されてる糸調子を自分であえていじるのには一応、訳がある。
刺繍ミシンに関していえば、布に合わせて(糸調子の)強弱ををつけることで、縫い縮みや縫いズレを防いできれいに仕上げるのが目的だが、本縫いミシンにはもう一つ意味が。
本縫いの時でも、薄い、柔らかい生地なのにきつい(強い)糸調子で縫ったら、パッカリング等が起きやすくて縫い目は美しくないのだけども。
そういった、見た目以外に縫い目に力がかかったときの問題?がある。
トップスなら袖ぐりのカマ底の辺り、パンツなら股ぐり、スカートならベンツorスリット止まりなど、着用中に縫い目にとても力のかかる場所というのは結構あって。
縫い目に強いチカラがかかると「切れ」てしまうことがある。
でもってこの「切れ」方には2通りある。
縫い合わせてる「糸」が切れる場合と、縫われてる「布」が切れてしまう場合と。
縫い目がほつれる、という点では双方にさほどの違いはないけども、のちのち修理することを考えるとかなり違う、と思うのは私だけだろうか。
縫い「糸」が切れただけなら、再び縫い直せばよい。しかし、「布」が切れる、つまり織糸が切れて布に穴が空いてしまうとか、織糸が変に寄って布端がほつれた状態となると、穴の部分を避けたりずれた織糸を避けて縫い直すことになり、これまでより内側を縫わねばならないから、微妙にだけどもサイズは小さくなるし場合によってはデザイン線も変わってしまう。
この「糸」が切れるか「布」が切れるかの違いは、初めに縫製した時の糸調子に左右されると私は考えている。糸の種類や太さなど、いろいろな場合があるので100%それだけが理由、ではないだろうがかなり影響されると考えている。
布に対して強く調節された糸調子で縫われていると、チカラがかかったとき「糸」は平気だが「布」が切れる。逆に布に対して弱めに調節された糸調子ならば「布」は無事で、縫い「糸」が切れる。
私は気に入った服はずぅうっと着たいタチ(貧乏性?^^;)なので、そんな形で着られなくなるのはとても悲しいので、いざというとき「布」ではなく「糸」が切れてくれるよう、弱めに糸調子を設定しているというわけ。
では各種の布に適した強さというのはどうやって見分けるかというと、私の場合はもうカンだけ(爆)でやっているが、むかーしむかしの装苑には布をバイヤスに折って縫った後、縫い目を引っ張って具合を見る、という方法が載っていた。。。けどまだ自分ではやってみたことがない(!)(^◇^;)
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コメント
私、「糸」が切れと「布」が切れっていうふうに考えたことが今までなかったですね。
でも、言われてみるとパンツの股ぐりとか股下の縫い目など布の引き加減などでも糸調子が変わるように縫っていました。
布が切れないように。。。。
理論立てて考えているユリウス」さん、凄い!流石だわ~~。
バイアス布で試し縫いしての糸調子のとり方はずっとそうやってました。(^_^)v
誰かに聞いたり本で読んだ記憶もないんですが、自然にそうしてるっていう感じですねこちらも。。。。
カンだけで縫ってる?私????
投稿: アリエス | 2006/04/16 00:40
布が切れるのは布が弱いからで、糸が切れるのは糸が弱いからだと思ってました(爆)
糸調子で変わるものなのか。勉強になりました。
そんな私の糸調子の合わせ方。
2枚合わせて縫って、開いてみる。で、適当に合わせる(をい!)
・・・・うまく言語化は出来ません。こういうところでも、ユリウス師匠はさすがでおじゃると、Fクリ・ソーイング部屋の頃からずっと尊敬しておりまする。
投稿: たなかともこ | 2006/04/16 22:07
いろいろな試し縫いの仕方があるのですね!
私は~。。少し縫ってみて、ちろっと裏表見て
良ければそのまま縫い続けていました(汗)
それって試し布じゃないですから(^^;)まあなんて事を。。
工業用ミシンの時は、薄い布でも厚地でも
いつも縫い目が安定してきれいだったので許されるのかも!?
家の職業用ミシンは糸調子で苦労させられています~
糸調子って大事ですものね。
これからは 共布の試し布でしっかりやります!!
投稿: RIE | 2006/04/17 13:20
☆アリエスさん
初めて「布」の切れと「糸」の切れの違いにん?と思ったのは、短大時代の構成学演習のとき、実験用の器具を使って縫い目の引っ張り強度を調べていた時でした。2枚の布を縫い合わせて両側から引っ張った時、どのくらいの強さで「切れる」かという。
その演習は布の種類による引っ張り強度の違いを調べるものでしたが、私は布が裂けて切れる場合と、糸が切れて切れる場合があるということに目が行ってしまいました(^^ゞ
その後、自分で同じ布、同じ糸を使って糸調子の強さを変えて試してみたら。。。なのでした。でも自分で試したのって、2、3種類の布だけなのでこうして公の場で言い切ってしまうには説得力が弱いかも(←ちょっと弱気^^;)
☆たなかさん
↑で書きました実験の時も、薄い柔らかい布は布が裂け、硬い厚い布は糸が切れることが殆どでしたから、一般的にはそうなんだと思います。まぁでも、厚くて硬いデニムや帆布なんかはボビンケースも上糸もぎゅうぎゅう締めて(!)ようやくバランスが取れることが多いので方向性は間違ってない。。。と信じたいっす(^^;)
☆RIEさん
私も基本はそうですよぉー、ちょっと縫って縫い縮みがなくて表裏のバランスが取れてればそのまんま、いってます(汗)
大概の場合はそれで行けちゃいますから~(^◇^;)
工業用ミシンはさすがですねー、あれ、でもうちの職業用も割と安定してます~(^^ゞ
投稿: ユリウス | 2006/04/17 19:17
たびたびすみませ~んm(_ _)m
職業用ミシンで糸調子がおかしかったのって
30番の糸の時だけだったのです。
ユリウスさんの上のコメントを読んで気が付いたの
ですが。。
下糸、上糸もきつく締めたらしたら縫い目が安定したようです~(大汗)
私の勝手な思い込みで下糸を緩くしていて(^_^;)
お直しの内職の時、デニムだと裏側があまりきれいじゃなくて困っていました。
それでもお店で通るくらいの縫い目だったけど
裏側からステッチが掛けられなかったり、お店でミシンを借りたりと面倒だったのです。
自分のカンは当てにならないので、まわりの厳しい目と
運を頼りにお仕事しておりました。
なので自分の間違いも、運良く(?)発覚しないとそのままに
なっているようです(涙)
おかげ様でひとつ悩みが解消しました。どうも有り難うございましたm(_ _)m
投稿: RIE | 2006/04/18 09:21
あらそうだったんですか(^^;)
もしかして縫い目がよろけてたのかしら。
職業用じゃなくて、まだ実家に居た頃の家庭用なんだけど帆布のような布を縫おうとしたら、そんな感じになったことがありました。で、ボビンケース、上糸を何度も締めなおしてやっとバランスが取れたことがあって、以来、厚い硬い布は相当きつくないとダメなんだな~って知ったのでした。
今は、私は不精になったので(爆)自家用服のステッチなんか、表はきちんと30番使うけど下糸は60番のままだったりします(!)
下糸が60番だと糸調子を大していじらなくても、きれいにいくもんだから(^^ゞ
投稿: ユリウス | 2006/04/18 23:02